二人のエルナンとジェシカ。その不思議な導きによって音を媒介としたスピリチュアルな記憶の旅。自然を切り取る一枚の絵画のような、吸い込まれるようなFIXの長回しで、静止画?と思うほどゆったりしたテンポが、より一層映画への没入感を高め、またしてもどっぷりアピチャッポンの世界に浸れて至福の時間だった。
ティルダとアピチャッポンの相性が予想以上によかったし、タイではない舞台、キャストも外国人であっても何の違和感もなく、切り取るすべてが心地よく、夢心地。雨音に包まれるエンドクレジットまで◎
寒い土砂降りのガラガラの映画館で観たというシチュエーションも功を奏した気がする。