このレビューはネタバレを含みます
2024.015
主人公の持つ感情の起伏。
それをぶつけても、周囲の誰からも同じ熱量と怒りを跳ね返されない環境。
周りの優しさゆえだとは思うが、それが1番主人公の少年を反省させる効果があると感じた。
何か過ちを犯してしまった時、謝罪や説教という過程を踏むことで、人はある程度許されたような感覚を持ち罪悪感が薄まるだろう。
しかし、この作品では身内の人間が主人公を怒りに任せて責めたりしない。
弟や両親からの無条件の愛は、過ちを許してくれるものではなく、その綺麗さが己の過ちと醜さを浮き彫りにするものである。
そうして虐められても無表情だった主人公が、家族からの愛を通して己の過ちと向き合い罪悪感を背負い続けることになった。
それにより「大人の仲間入り」だと言われる場面は、俗に言う失敗から学ぶような心理的成長を描いたのかなと思う。
観に行って良かった。