太田康裕

バケモンの太田康裕のレビュー・感想・評価

バケモン(2021年製作の映画)
4.5
これはニッポン放送「笑福亭鶴瓶・日曜日のそれ」に送って採用された感想。
基本的に別媒体で採用された場合、ここのレビューは新たに書き下ろしてるんだが、このレビューが自分でもけっこう気に入ってて、これ以上の文章にならなかったので転載。
なので、万が一この文章をどこかで聴いてもそれは両方僕。
(一応コッチ用に若干の加筆修正はしたけど)

17年前からある映像作家が笑福亭鶴瓶を撮影している。
ただし、そこで撮られた映像は師匠が生きている内には公開しないという約束で
密着が許可されている。

その記録の一部が今回公開された。
それが本作。
新型コロナウイルスの感染拡大で経営に苦労している映画館の力になれば、と公開が許された。

だからとんでもない条件での公開になった。
入場料の100パーセントが劇場収入になる。
師匠はもちろん、製作サイドも配給会社も割り前を取らないんだそうだ。
聞いたこともない条件だった。

で、内容はというと…。
学生時代からチンチンを出してたという話に思わず声を立てて笑い、様々なテレビ・ラジオ番組などでは決して見せない「笑福亭鶴瓶」として生きる姿や覚悟にボロボロと涙がこぼれた。

そして感動し泣いてると決まって映る師匠の下着姿に(僕は一体なにを観て泣いているんだろう)と考えさせられた(笑)
(楽屋シーンが多いので必然的に着替えが多い)

笑福亭鶴瓶師匠の生き様を縦糸に、横糸に「らくだ」の謎解きを置いた構成にもグイグイ引きつけられる傑作ドキュメンタリーだった。

生きてる内は公開しないという条件を反故にしてまで映画館を救おうとした心など含め笑福亭鶴瓶という人の「カッコよさ」に痺れた。