ベンジャミンサムナー

アリスとテレスのまぼろし工場のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

2.5
 「地方都市を舞台にした、停滞した時間とそこからの脱却」はまさに″秩父三部作″に連なる岡田麿里らしい題材。

 だが、秩父三部作はあくまで4、5人くらいの10代の男女間で物語が展開してたが、本作は『漂流教室』のように街単位の話なので、色々と要素が散漫に感じた。

 岡田麿里脚本と言えば登場人物の心の機微、感情のグラデーションを描き出すのが特色。
 『あの花』くらいのファタンジー要素なら良いが、本作は設定がトリッキーな上にそれを小出しに見せてくるから、その分登場人物の感情掘り下げのノイズになっている。

 タイトルの「アリスとテレス」だったり、あの煙はどう見ても龍なのに狼と言い張って「神機狼」と命名したり、ただの言葉遊びに終止してる要素も散見される。