Koshii

〈主婦〉の学校のKoshiiのレビュー・感想・評価

〈主婦〉の学校(2020年製作の映画)
3.9
自分らしく生きるためのヒントが散りばめられているアンサームービー。

自分に迷うとき、誰かに「進もう」と背中を押して欲しいとき、今の自分に答えが欲しいとき。そんな分岐点を抱える人たちに見て頂きたい作品。

自分と向き合う時間がたっぷりある作品。
映像が可愛らしく魅力的で、旅をしている気分になることはもちろん、映像だけのシーンも多いので、一つ一つ自分と照らし合わせながら鑑賞できるようになっている。


〈主婦〉の学校とは、自分の事は自分でできるよう、生徒たちを自立させる事を目的とした教育機関であり、アイスランドに1942年から続く男女共学の家政学校である。本作は、この学校で過ごす生徒と、その授業内容にフォーカスを絞り、卒業生のインタビューを挟みながら進んでいくドキュメンタリーテイストの映画である。


このタイトル「《主婦》の学校」と聞いてどんな印象を持つだろうか?


昨今ポリコレの目が光り、沢山の言葉が姿を変えている。この表現に言い換えましょうと、社会は善人になるためにせっせと言葉を選定している。

差別や偏見を無くすため、至極真っ当な作業であると思っているし、SDGs的観点から鑑みても、そういった表現が減る事は素晴らしいことだと理解している。

それでも息苦しい世の中だなと、私は考えてしまう。それは、直接的に表現の幅が減るリスクや、そういう差別をしてるかどうか、無意識にフィルターを通すような物の見方になってしまうことを畏怖しているからである。どうにも窮屈な世界になってしまいそうで、近い将来「ポリコレコレ」という言葉が出現してからでは手遅れだろう。

そういう『不適切な言葉』の供給を遮断するだけではどうも、明るい未来はないのでは?と感じる。受け手の理解の質を高めることの重要性が今後は大きくなるだろう。


本作はあえてタイトルに《主婦》を残しており、監督の「私たちは皆、主婦」というインタビューをみて凄く腑に落ちた。

とっても良いタイトルだなと。
Koshii

Koshii