評価が著しくないのだが、個人的には好き。
野生動物と人間の立場が逆転した世界。その発想は面白く、何を描きたいのか実に分かりやすい。
逆にその分かりやすさから想像以上の物語は無く、人間が行なってきた残虐行為が風刺的に描かれるのみ。様々な情景が描かれるが、それでも上映時間の64分が長いと感じてしまう程の間延び感、テンポ感の無さがネックとなる。
残酷描写は殆ど無いがホラー演出はしっかりしており、全体的に強い緊張感が張り巡らされている。分かってはいたがそれでもラストの演出は非常に良く、心に残る本作。それだけに尺感のミスマッチが残念に思える。短編作品として纏めるか、長編ならドラマ部分を詰め込むか。ただ、そのドラマの無さがリアリティを出していると言われればその通りである。
