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戦場のピアニストのEDDIEのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.7
無意味かつ無情な戦場の生活。第二次世界大戦の頃の実話を綴ったロマン・ポランスキー監督の名作。ピアノの音色と重なるように響く銃声や大砲音が当時の市民と戦争が隣り合わせであったことを物語る。

本作は私がロマン・ポランスキー監督作品で唯一観たことのある作品です。『ローズマリーの赤ちゃん』や『テス』が代表作だと思いますが、本作は実話ということも含め当時衝撃的すぎて心に深く残っていた作品です。
このたびNetflix配信されていたので、久しぶりに観たくなり鑑賞しました。

1930年代後半、ユダヤ人であるシュピルマンはピアニストとして活躍。そんな折に巻き起こったのが第二次世界大戦です。
ユダヤ人迫害をテーマにした映画はたくさんありますが、本作もユダヤ人に対するドイツ兵たちの暴挙の数々は目も当てられません。
少しでも抵抗すれば脳天に銃撃を受ける、質問しただけで撃ち殺される、ランダムに数人選ばれてはただ銃殺される、といった無惨さが一つ一つ重い現実としてのし掛かります。
国は違えど、これが同じ人間が為す所業かと。観ていて辛さのあまり目を背けたくもなります。

150分近く、この厳しさを見せつけられ、頭がおかしくなりそうですが、諦めることなくしぶとく生きることが光を見せてくれるという前向きなメッセージ性も受け取れます。
それがとあるドイツ兵との出会いですね。
辛さが重なり胸が張り裂けそうになりながらも、シュピルマンに希望の光を指し示す者としてドイツ将校との出会いがあります。

ドイツ兵たちのユダヤ人に対する迫害、戦争で無惨にも街を破壊させてしまったこと、飢餓など、戦争が我々人間から奪っていくものはかなり大きいです。
今後、同じような戦争が起こるとは信じたくもありませんが、もし起こったとして同じような人間同士の迫害は巻き起こるのでしょうか。

戦車からの砲弾や兵士たちの銃撃シーンなど、アクションシーンも破壊力満点。作品としてのメッセージ性、主人公の不屈の精神、対話すること、理解してもらえることの大切さ、たくさんのことが思いきり心に深く突き刺さる名作の一つです。

※2021年自宅鑑賞69本目
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