タクマ

戦場のピアニストのタクマのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.5
見たで。
1人のピアニストの視点で描くホロコースト。人の命が物の様に扱われ殺され家族でさえもバラバラになる地獄の様な世界。絶望、恐怖、悔しさ、様々な感情を瞳に宿した彼の姿は悲しくも力強かった。生命の尊さと鎮魂、平和への願いと希望をピアノの音色で奏でる傑作。
ホロコーストを題材にした作品では「シンドラーのリスト」と並ぶ傑作であると思う。仮に日本がどこかの国に戦争で奪われ支配されたとしてそれでも自分は生きたいよって思うタイプの人間やけどこの映画はそんな自分みたいな人達に対してそこで生きるとはどういう事なのかを直視させて来る映画だった。同じ状況になった時に自分は彼の様に最後まで生きる事を諦めずに前を向いて進めるだろうか?それにちゃんとした答えが出ないからこそ音楽の力が人の心の扉を開いた終盤の展開に心をわし掴みにされた。
強者による力と恐怖に支配された世界で人の心を無くした人間達が同じ人間の命をその日の気分で遊び半分で奪ってしまう中でもあの将校が彼に見せた善意だけは本物だったと信じたい。その事実こそが人類はいつか全てが1つになり真の平和を掴める時が来るという希望になるのだから。
人間の悪の部分とその反対の善の部分も逃げずに真っ正面から描いた傑作でした。
タクマ

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