梅ちゃん

グッバイ、ドン・グリーズ!の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
ドン・グリーズ―――

東京近郊の田舎街に住む男子高校生ロウマと、東京の高校に進学した親友トトが、小学生の時に結成した2人のチーム名。

由来は背比べの団栗(どんぐり)ではない。Don't glee から。
gleeとは歓喜、歓声を意味し、教室で思うままに楽しんだり、喜ぶことが出来ない自分たちを自虐的に表している。

命名時は小学生だったので文法的には正しくないが、当時の彼らが置かれた状況や心情を思い、胸がチクリと痛む。

夏休み、久々に集結したドングリーズには、小柄な少年ドロップが加入。
田舎で燻る思春期真っただ中、陰キャのロウマ。
東京で医学部受験のプレッシャーに押し潰されそうなトト。
朗らかに日々を楽しむ前向きなドロップ。

物語は、山火事の犯人にされそうになった新生ドングリーズの3人が、冤罪を証明する証拠探しの山中で繰り広げる、ひと夏の大冒険を描く。
それは、美しい風景の中で告げられる、少年達のモラトリアム終了の予告でもあった。

細切れに散りばめられたドロップのエピソード。それぞれの伏線が繋がり、隠された円環が明らかになるとき、とんでもないスケールで感情が押し寄せる。

美しいアイスランドの風景と逞しい少年たちの横顔。なぜアイスランドか?興味を持たれた方は、是非この結末を見届けて欲しいと願う。

なお、佐久間雫=ドロップと命名した人、ゴイスー😆