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ダーク・スター ディレクターズ・カット版のYOUのレビュー・感想・評価

3.5
1974年に公開されたジョン・カーペンター監督作『ダーク・スター』のディレクターズ・カット版。
「南カリフォルニア大学映画学科で知り合い意気投合したジョン・カーペンターとダン・オバノンは1972年に45分の中編映画『ダークスター』を共同制作。これに目を付けたジャック・H・ハリスがプロデューサーを務め、2人は長編リメイク版『ダーク・スター』が制作。しかしハリスは彼らの仕事にいちいち口を出し、報酬や製作費はほんの僅かしか渡さなかった。紆余曲折を経て1974年にようやく作品を完成させたが、評判は芳しくなく公開は早々に打ち切られてしまった。この後オバノンとカーペンターは激しく衝突し決別。オバノンが2009年に亡くなるまで、彼らが仕事を共にすることは二度となかった…」 という有名な話がありますが、本作はそんな『ダーク・スター』のカーペンターによるディレクターズ・カット版。「ディレクターズ・カット」と聞けば普通は尺が増すという印象ですが、本作はなんと劇場公開版の「10分縮小版」となります。先程のエピソードと合わせて観ると何とも複雑な気持ちにならざるを得ません、うーん。

主な変更点としては、
・オープニング後の宇宙嵐を手動で防ぐシーン,
・それに付随して起こるレーザーシステムのトラブルやコンピュータと爆弾20号とのやり取り,
・その後の食糧庫での場面やドゥーリトルの楽器演奏シーン,etc.
と、要は序盤がごっそり抜け落ちています。しかしこれにより中盤でピンバックが愚痴り日記を付けるシーンや肝心の爆弾トラブルに至るプロセスが省かれてしまっている為、やはり作品としてのバランスは劇場公開版の方が圧倒的に良いです。ただこうして”制作時のトラブルや悪条件が直接作品性に影響している”というこの実情は、つまり『ダーク・スター』という作品を鑑賞するにおいて「前述のエピソードはマスト」だという事ですよね。タイプは違いますが『新・猿の惑星』や『死亡遊戯』とも並ぶ重要エピソードだと思いますので、『ダーク・スター』をご覧になる際はこちらの裏話も是非。














































































































































この作品に関してはDVDやBlu-rayのジャケットよりも本国版のどのポスターよりも、日本版フライヤーのデザインがとにかく最高。瞬間的にSF映画だと分かる上に、本作の「軽さ」「チープ感」「時代性」「カルト映画っぽさ」が全て凝縮された至極の一枚。どうにかこれを拡大して額に入れて部屋に飾りたい。
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