荒野の狼

砕け散る絆の荒野の狼のレビュー・感想・評価

砕け散る絆(2019年製作の映画)
3.8
絆なんてものは単なる共依存に過ぎぬから、砕け散った方がいい。親子兄弟がベタベタするよりも、捻れちまった関係こそ現実的だと思う。子供連れで家族ドライブの図、これこそ猥褻、人目に晒すものではない。エンディングには少々不満はあるものの、晒し方に節度のある映画は大人のなせる技(わざ)と言えよう。フランス流にいえばシック(chic)なんである、これを単なるファッション用語的に捉えないで欲しい。見たこともない俳優さんばかりなので余計にそれが際立ち、流して見ることができない。観光とは違うありのままのマルセイユやアルジェリアの異国情緒がダイレクトに伝わって来る。下卑た絆など感じさせぬから、個としての人物像の輪郭が明確に浮かび上がり、曖昧さが残る事もない。いわゆるおフランスって言う匂いがない所が、むしろシックだといいたいわけである。
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