ツクヨミ

くじらびとのツクヨミのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
4.1
"鯨"と共に生きる人々。
インドネシアのラマレラ村は人口1500人に満たず小さな海辺に面している。彼らは生きるために鯨漁を繰り返す…
鯨漁で生計を立てている村を映したドキュメンタリー。今作は空中撮影や水中撮影を活用して鯨漁をダイナミックに撮った撮影に度肝を抜かれました。鯨に対して銛一本で勝負する男と暴れ回る鯨の一騎打ちは手に汗握る激闘、そして暴れる鯨と唸る波の音響が凄まじい緊迫感を生み出す。鯨を獲った後は村の住民で肉を解体して分配する流れ…住民が言っていた"鯨が年に10頭捕れれば村人は生きていける"という言葉が身に染みるほど鯨は村人にとってなくてはならないものなのだ。
しかし鯨は人々に幸福ばかりを齎すわけではない。鯨漁は人間にとって命懸けで漁の戦況によっては片腕が無くなったり、命を落としてしまう危険性を孕んでいる。そんなに危険なのに何故村人は鯨漁を続けるのか、それは村が作物を育てられる環境がなく、鯨を物々交換品として使わないと作物が得られないからだ。鯨は食料として扱われのが主だが、他食料を得るためのものとしても扱われる。それほどラマレラ村にとって鯨は大事なものというのが痛いほど伝わった。
鯨と生きること=命を頂いているということ。古来続く食物連鎖の流れをインドネシアのラマレラ村に見た。
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