この作品、他人であるオトナと子どもの関わり以外にも親子の関係、DV、ネットの誹謗中傷、様々な問題が絡み合っていて簡潔に感想を書くのが難しい
更に、監督が求めるところと自分の気持ちに、おそらくズレがあるから余計に
人と人との関係は当人同士にしか分からない
だから、この2人は自然の流れのように惹かれ合い再び出会った、と美しくまとめてしまうのは個人的に危うさを感じる
特に居場所のない人間にとって自分を受け入れてくれる人を信頼しすぎて、それを愛だと思い込んでしまう事は危険だと思う
子どもなら、なおさら
人が他人に見せたくない部分を描いていて、その揺らぐ感情を表現しているキャスト陣は見事
横浜流星さんが演じたリョウは発する言葉の端々に、相手を支配したい、大切なのは自分という感情が見えるような人物
李相日監督は、彼の昭和な雰囲気がリョウが合うんじゃないかと感じたみたい
もちろん、あんなに自己愛の強いような人ではないとも仰ってた
それと「彼はフミがやりたかったのかもしれない」なんていう言葉も
私は作品を観て、彼に、いろんな役を自分のものにしたいという貪欲さを感じた
暴力的で、それでもそんな自分にどこか嫌悪を抱くような複雑な役を演じていて素晴らしかった
広瀬すずさんが演じる更紗の子ども時代は白鳥玉季さんが演じてるんだけど、白鳥さんと広瀬さん、お顔立ちがそっくりというよりは、その表情が重なり合って、この違和感のなさは不思議な感じすらした
白鳥さんは時々、とても大人びた表情になるし、広瀬さんは逆に子どものような無防備な顔を見せる
2時間半という長さを全く感じさせない作品でした
