ぴぃ

流浪の月のぴぃのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.0
邦画特有の、じめっとした湿度の高さや息苦しさが好きだ。高原地帯に身を置いた時のような、酸素の薄さや霧がかった視界。ゴールが見えなくて、何故自分はここに来てしまったのかと戸惑うような複雑な戸惑い。そんなことを考えながら、150分という長い時間スクリーンと対峙した。

きっと上質な作品に違いないと、公開日を今か今かと楽しみにしていた。そしてその期待は裏切られることなく、かつ想像していたものと良い意味で少し違っていた。「切ない」とか「悲しい」とかそんな言葉で片付けたくない。なんともいえない気持ちに包まれた。

もしかすると、犯罪を美化しているという声も出かねない作品なのかもしれない。私自身、こんなことあるわけないと思ってしまったから。そんな思いの傍ら、登場人物に寄り添いたくなるのは役者陣の説得力があまりにもあるからか。
適役だろうなと思っていた松坂桃李さんのこれまでの出演作はこれまで数多観てきたけれど、どの役ともまた違う新しい1人の男性だった。横浜流星さんの出演作は今までちゃんと見たことがなかったけど、登場して数分で人物像を物語るような佇まいや台詞の言い回しに衝撃を受けた。

普段感想を記す時に、極力役者さんについて触れるのはやめようと思っているのに、つい、書かずにはいられなかった。
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