流石の李監督作品。
理解しようとするほど、誰が正義なのか、はたまた全員悪者なのか、理解することが難しくなる。心情をえぐり取られる。
物語が進むにつれて、絶望を経験した2人の僅かな「救い」が見えた、と思ったら最後にはその唯一の希望さえ見失ってしまう。それぞれの心の拠り所への期待と、現実への虚無感や罪悪感が入り混じり、深くて暗い大きい穴に落ちていくような感覚だった。
更紗が終盤に言った「人は物事を見たいように見ていく」という言葉に考えさせられた。隠された真実と傷を修繕するには、愛か、別れか、嘘か、それとも時の流れに身を任せるか、経験した2人しか分からない答えがある。
一緒にいて楽しい人との時間を、相手を最大限想いながら大切にしていこうと個人的に考えることができた傑作映画。
