ひる

ミラベルと魔法だらけの家のひるのレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
3.9
家父長制とは単に男性による支配ではなく、男性的な社会がもたらした構造的問題なのだと気付かせてくれる。その証に本作での女性は積極的に労働を担い、男性は引っ込み気味かつ結婚を急ぐ。そして家族の長である婆さんは、かつて欧米諸国の資本主義を目的とした侵略から身を守るために自らもまた強固な家父長制をとらざるを得なかった。あの迫りゆくヒビはその機能を失いつつある家父長制であり、ポストモダンに即して喩えるならばかつての「大きな物語」の終焉でもあろう。それを告げられるのは何のギフトも与えられなかったミラベルに他ならなかった。まぁこんなミニマムで社会的な家族ドラマを資本主義の権化たるディズニーが作ってるのが何よりの皮肉なのだが。

psいつものディズニー映画とは違い、音楽が心に残らなかったのが残念であった
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