キツネとタユタム

デモニックのキツネとタユタムのレビュー・感想・評価

デモニック(2021年製作の映画)
2.3
過去に大量殺人を犯して疎遠になっていた母親が全身麻痺で動けなくなったと連絡を受ける主人公。
行った先の病院で「母親の意識にVR技術で入って魂を呼び戻して欲しい」と理解不能なことを言われ混乱するも、とりあえず母親の意識に入ってみたが、そこにはとんでもない秘密があったという話。

「第9地区」で鮮烈な監督デビューをしたニール・ブロムカンプ監督の、自らのスタジオとなるOats Studiosを立ち上げたあとに製作した初の長編作品。
今までとは違い、かなり低予算で製作されているため、日本では「未体験ゾーンの映画たち 2022」で限定での公開となっていて、本作の知名度は低い。
それでもブロムカンプファンとしては、使命感として新たな一歩を踏み出したブロムカンプを応援するかの如く、映画館に足を運ぶ。
1日の上映が1回だけしか無いこともあり、その1回はブロムカンプファンでひしめき合い、ほぼ満席の状態。
そして満を持して映画が始まるのだが、マジで面白くなかった。

VRの仮想現実を誰かの意識内として表現し、ゲームさながらのちょっと荒いCG表現をするのはとても良い。
その世界に入るシーンは、これからの面白い展開を色々と考えさせてくれて、とてもワクワクする。
しかし最初の盛り上がり以上のことは起きず、淡々と普通のホラー映画が展開される。
ラストで少しVR世界が忘れてましたと言わんばかりに戻ってくるけど、全く上手く活かせずやはりこれも尻つぼみ。

主人公の女性の行動がことごとく現実感が無く、自ら死を選んでいるだろうという選択ばかりする。
ホラーな展開に持っていきたいのが見え見えで、説得力も必然性もない選択にイライラするばかり。

ブロムカンプは初のホラー長編だったのかと思うけど、もう少し怖さのセオリーみたいなのを学んでから再度挑戦していただきたい。
キツネとタユタム

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