メシと映画のK佐藤

映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!のメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

前作から春のオールスター系でもないのに過去のプリキュアとのクロスオーバーが展開される様になった劇場版プリキュア。
今年のトロプリもハトキャとのクロスオーバーとなりました。
個人的にはクロスオーバーはオールスターに任せて現行のプリキュア単体の映画を観たいのが正直なところなのですが、今回の劇場版トロプリに関しては予想以上に楽しめました。
その要因は前作でダメと感じた部分の解消と、話の構成の巧みさにありました。

前作で個人的にダメと感じたのが、クロスオーバーに意義を見出せなかった事。
はっきり言って前作はプリキュア5抜きでも話は成立してしまう位、5との共演は薄味でした。
共演そのものが話の主軸にも絡んで来ない。
5との共演にはこれこれこう云う訳があったんですよと云う説明が出来ていない事は、致命的な欠点だと思います。
ところが、本作はハトキャとの共演にがっつり意義付けがされていました。
本作のゲストでありラスボスでもあるシャロンのこころの花が凍っている故に悪事を働いていた事を伝え、彼女の心を浄化させる事に繋がる件なんて、その最たる例かと。
他にも戦闘シーンにおけるダブルおしりパンチ等の合体技に見られる共闘の強調、えりかのファッションアドバイス等々。
ハトキャ勢ががっつり話の本筋に食い込み、その意義もきちんと説明が出来ていました。
前作でもこんな質の良いクロスオーバーを拝みたかった…😭

シャンティアは実は大昔に隕石により滅亡しており、シャロンはその隕石の不思議な力により蘇った亡霊に近い存在で、今度こそ良き王妃となり良き国を作らんと目論んでいた…プリキュアらしからぬ何ともホラーチックな内容ですが、彼女を一番に救おうとしていたのが同じ王女であるローラであり、ローラを中心に物語が組み立てられていたのが実に巧みでした。
歌姫であるローラがシャンティア王国の歌をシャロンから伝えられ、その歌がシャロンの凍りついていた心を溶かし、冒頭で提示されていたローラにとって相応しいステージ…あおぞら市のステージにて、えりかデザインの服を着てまなつ逹と共にシャンティア王国の歌を唄う…本当に綺麗に纏めていたと思います。
尚、何となくシャンティア王国とは過去のプリキュア作品のメタファーなのかなと思ってみたり。
伝える者がいないと、ただ忘れ去られていくだけ…それを止められるのが、本作の様なクロスオーバーで過去作を伝えて行く行為なのかもしれません。

エンドロール後に次のプリキュア映画の告知がされますが、春のオールスターは無く例年の現行のプリキュア作品単体の映画のみとなる様ですね。
オールスターこそ正に過去のプリキュアを伝えて行く存在だったんですけどねー…😅