桔梗

ブルー・バイユーの桔梗のネタバレレビュー・内容・結末

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

終盤からラストシーンにかけて涙が止まらなかった。
断腸の思いで、キャシーに留まれと命じるアントニオ、そしてジェシーの悲痛な叫びと、それに呼応する様に彼女を必死に抱き締める彼。
これ程までに互いを求め合う家族を引き裂くのが、人々の生活を守る為の法律と言う究極の皮肉。法律とは。制度とは。
決して真っ当とは言えない人生を送って来たアントニオ。犯した罪を美化するつもりは毛頭ないけれど、不器用な彼が家族を守る為の最終手段に踏み切った訳でもある。もしも、養子縁組に対する法律や制度がきちんと設けられていれば、貧乏ではあるにしろ、こんな罪に手を染める必要もなかったはず。
大人に翻弄されながら成長して、その成長の先で今度は社会の仕組みに翻弄される。こんなやるせない人生を送らなければならない程、彼は悪人ではない。
これは、重要な社会問題。きちんと市民権を。それだけで、家族は幸せに暮らせるのだから。
桔梗

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