ルーク大佐

13デイズのルーク大佐のレビュー・感想・評価

13デイズ(2000年製作の映画)
4.0
20年前の公開時に見たときはさほど強い印象をもたなかった。国際政治や核抑止論などを理解していなかった。要はガキだったのだ。
Apple TV傑作ドラマ『フォーオールマンカインド/シーズン2』では、キューバ危機を月面資源戦争に置き換えて描いており、そのストーリーに触発されて本作を見直した。

核保有国同士は「相互確証破壊」の考え方で先制核攻撃を始めることはない。敵国を攻撃すればすぐさまどの海域に隠れているかわからない原子力潜水艦が報復核攻撃をするからだ。

核兵器を持つことで相互に安定が保たれるのは国際政治の常識だが、日本では過去のトラウマから政治家や防衛省は核保有や核シェアの戦略を検討することすら放棄している。だから日本は北朝鮮やチャイナの核脅威に脅えなければならない。情けない話だ。

さて、本作は米ソ核戦争が現実化しかねないキューバ危機をケネディ政権がどう回避したのかをサスペンスたっぷりに描いたものだ。
あらためて歴史的大事件を見直すとなかなかの良作だった。

ちょい前のベネディクト・カンバーバッチ主演『クーリエ:最高機密の運び屋』は民間人スパイがキューバ危機を防ぐために奔走するもの。ソ連側のキューバ危機への対応が見えるのでおもしろい。

両国ともドロ沼の核戦争を念頭に置きながらも、敵国や政権内部のメンバーに弱虫と思われないようにするため、強硬な姿勢は崩せない。
権力者の見栄やハッタリから、戦争は始まるものなのだ。
ルーク大佐

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