ハレルヤ

スルー・ザ・ファイヤー 炎の傷跡のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
フランスのパリで消防隊員として活動するフランク。ある日の火災現場で重度の火傷を負ってしまい、心身共に大きなダメージを受ける。彼自身と家族、仲間たち、周囲の人々と共に再生へと向かっていく実話を基にしたドラマ。

前半はフランクの仕事を描いたもの。日々の訓練から始まり、急病人の救助や泥酔したホームレスの手助け。日本でも珍しくない鉄道での人身事故現場での作業など、普段のフランクはどんな仕事をしているのかが分かります。

そして発生する火災。部下を救おうとして火災現場で炎に巻かれ、全身に大きな火傷を負って昏睡状態に。目覚めてから懸命なリハビリを行うも焼けただれた顔に思うように動かない体。まさに絶望に満ちた状態。

自分がこんな事になったらと思うと胸が潰れそうになりました。全身包帯だらけで子供たちにも会えない。周囲の人々にも気を使わせてしまう状況。消防士としての仕事も復帰できない。家族とも距離をおき、挙句の果てに自殺まで考えるようになったフランクの姿を通じてこのような重度の怪我を負った人の辛さが大きく伝わってきます。

「ブラックボックス:音声分析捜査」でも主演を務めたピエール・ニネの悲痛な表情が非常に印象に残りました。下手にドラマチックにせず、淡々とした作風もリアリティがあります。

このmark数の少なさでも分かるように日本では未公開作なので知名度は全くありません。しかし誰もがいつこのような状態に陥っても決しておかしくない出来事をストレートに描いた作品。一見の価値は十分あると思います。
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