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猿の惑星:創世記(ジェネシス)のAKのレビュー・感想・評価

4.5
「資本主義社会の大衆は、現実の世界で革命に言及することはないが、想像力の世界では革命を夢見ている」
──Kevin Floyd、一橋大学レクチャー内での発言

 
 ケヴィンはそのような「革命的な物語」として、『ハンガー・ゲーム』『ゲーム・オブ・スローンズ』『マッドマックス フューリーロード』そしてこの『猿の惑星 ジェネシス』を挙げた。

 スター・ウォーズやエイリアン・シリーズのように、誰もが知っている『猿の惑星』シリーズの前日譚として構想された新シリーズの第一作。「ジェネシス」とは邦題にあるように「創世記」の意味である。創世記、それは神によるアダムの想像と、悪魔の唆しによる知恵の木の実、それによるエデン追放、奴隷化とそれからの解放:エクソダスの神話。第一作は、まさにこの創世記がなぞられる。

 (これは新エイリアン・シリーズも同じなのだが)猿を進化させる知恵の実をクリエイトした「神」は、もちろん人間である。その猿が、知恵の木の実を食べたことにより、同胞たちが動物実験や動物園に不当に追いやられていることを知る。誰に追いやられているのか? もちろん人間である。

 プロットだけなぞれば、最終シーンの橋渡りはエクソダスであるが、上記のメタファーが重なられることにより、このシーンは「奴隷反乱」とも「神殺し」とも取れる。そう、これは「革命的な」映画ではない。革命の映画なのだ。素晴らしい傑作。

 そして本作で忘れていけないのはジェームズ・フランコである。あの「死ぬだけで観客の大爆笑を誘う天才コメディアン」ジェームズ・フランコが主演で、始終まじめで、しかも死なない!これは奇跡の映画だ!(ぉ
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