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ブレードランナー ファイナル・カットのkensyoのレビュー・感想・評価

3.8
IMAX版!ラストの雨音と、レプリカントのリーダー、バッティの最後の独白がすごく美しくて、映画館で、IMAX版を見て良かったと思った(映画館としては苦渋の選択かもしれないけれど、こういったリバイバル上映があるのは嬉しい)。

個人的には、4DXよりIMAXの音響と映像の方がそこに居るような臨場感が有るように思う。

無限に新しいバージョンが作られ続ける映画「ブレードランナー」のファイナル・カット版。エンドロールで確認したら2007年版なんですね。不滅だな…。

無限に言われてるだろうけど、美術と世界観が本当に素晴らしい。
詩的な言葉選びもよかった。

未来を、錆びた過去として描くっていうのはきっとすごい発想の飛躍だったんじゃないかな。
フォークト=カンプフ・マシン(レプリカント判別用の検査器)のレトロなデザインも、その言葉選びと相まって美しく思える。

この頃のSFは、本当に壮大な世界を描いてるなって思う。2001年には月に出張して、2019年にはオリオン座に宇宙船が飛んでいるんだもの。

ブレードランナーはずいぶん昔に「ディレクターズカット版」を観たきりだったけれど、思ったよりも「急に大きな音でびっくりさせる」タイプの映画で、IMAX効果で2倍びっくりしちゃった…
そして改めてみてもお話の筋がよくわからない
レプリカントたちが今どこに居て、なんで個別にチョロチョロ出てきたり生活に溶け込もうとしてたりするのかがイマイチ理解できなくて、ストーリーはよくわからず、冗長なように感じる。
全体としてバランスの良い映画ではないと思うけれど、だからこそ長年愛されているんだろうなとも思う。
人は長所ではなく短所で愛されるというけれど、それは映画も同じなんだろうな。
きっと隙のない、全て辻褄の合ったストーリーだったら、これほど何度も再編集や考察されながら長い期間愛されることはなかったんじゃないだろうか。

だから、ファイナル・カット版を観てこの辻褄の部分で(ほんの一言だけれど)大きく修正されていたのは意外だった。
あれ、辻褄合っちゃうけど、いいの…?っていう。
一般的には綻びを繕ったんだから良いことだと思うんだけど、この作品の場合は別なんじゃないのかと感じて。
それとも、"ファイナル"カットだから最後に穴を塞いだんだろうか。
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