キミシマユウキ

ブレードランナー ファイナル・カットのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

3.9
未来の地球、特別捜査官のデッカードは違法に侵入したアンドロイド数体を抹殺する任務を与えられるが・・・

「エイリアン」「グラディエイター」のリドリースコット監督によるP・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の映画化作品。

これは驚いた。

このファイナルカットは監督の一番のお気に入りVerだということで映像が1982年に撮られたものとは全く思えないほど綺麗で素晴らしい。
アジア街のような背景と中国語や日本語が入り混じっている喧騒、過密でジメジメとしていて退廃的だがどこか美しさを感じる未来の描写はそれだけでも一見の価値があるだろう。

監督も読んだことがないらしく原作と内容がだいぶ異なるのでほぼ別の作品と言ってもいいが、ディックはフィルムの一部を見て期待はしていたらしい。
残念ながら完成を待たずして逝ってしまったが、是非感想を聞いてみたかった。
しかし彼の小説はかなり難解で誰でも読めるようなものではないのでこれくらいで良かったのかもしれない(映画も充分難解だが)

主演のハリソンフォードは渋くてどこか哀愁の漂うデッカードの役にハマっていた。「スターウォーズ」で映画好きになった自分としては若き日の彼が観れるだけで心が躍る。

暗い内容で大きなアクションもないので苦手な人には面白くないかもしれないが、(そのため-0.1点)
静かに流れる時間と未来の街の雰囲気をただ楽しむもよし、
SFとしてしっかり鑑賞して色々と考察するもよし、
な作品だと思う。

SF好き、ディックの小説ファン、リドリースコットファン、ハリソンフォードファンにはおすすめの作品。