14世紀の騎士の決闘物語をなぜいま映画に? と思いましたら、現代にも通ずるレイプ事件が決闘の原因だからでした。
その事件を被害者の妻、騎士の夫、そして同じく騎士の加害者、三人の視点で描いているというのが映画のうりのようで、確かに映画のつくりは三部構成にはなっていますが、視点はどのパートも同じです。
同じシーンのカット構成が変えてあるだけで、最初のパートにはないカットが次のパートには加わっているといった感じです。
ひとつ目が夫、ふたつ目が加害者となりますが、特にこの2パートは、夫のパートでは描かれなかったことが加害者のパートに入っているだけです。当たり前ですよね、夫はそこにいないんですから。
といった感じで黒澤明監督の「羅生門」みたいにしたかったようですがうまくいっていません。
レイプ事件そのものは現代的な視点で描いていますが、妻が夫に告白したり、社会全体を敵に回して訴えることの妻の心的リアリティが足りません。
時代ものであっても、ここまでするのであれば、もっと被害者である妻に焦点をあてて描くことはいっぱいあるのにと思います。
「ネタバレレビュー・あらすじ:14世紀フランスのレイプ事件、すべては男のため」
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