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最後の決闘裁判のTenKasSのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.0
相当面白い。初志貫徹ぶりが凄まじい。決闘と男性社会の欺瞞。
実際この映画の場合は、真実は明確にそこにあり、「どれが本当か」というものではない。というのも三つの物語の差異は男性にとっての虚栄心がどこでどう働き、主張に影響するのかという部分でしかないから。
三章のラストデュエルではその虚栄心をかけて二人がぶつかり合う。かたわらで見つめるジョディ・カマーだけが二人が忘れた本当に考慮すべきことを体現している。
決闘は、最後までその虚栄心を捨てられなかった方に死が訪れるようにも見えた。
決闘における王や領主、観客のグロテスクさもなかなか凄い。

中世という時代設定からくる画面の暗さ、蝋燭を主な明かりとした画面作りは映画、映画館と相性も良い。しかもその金のかかった画面をスパスパと気持ちよく切っていく。
合戦シーン、決闘シーンの金属と金属のぶつかり合う音、その甲高い音は劇場で聴いてこその実在感。
驚くほどの充実、リッチさに唸る。
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