ようすけ

最後の決闘裁判のようすけのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
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ほとんど文句のつけようもない
80超えてこれが撮れるってどういうことなの?

『羅生門』よろしく3人の登場人物それぞれの当事者視点で描かれる三幕構成でありながら、そこからされに現代版にアップデートが図られている。それは映画が三つの「嘘」で構成されているのに対して、本作は三つの「真実」で構成されていることだ。

一幕でマット・デイモン演じるカルージュ
二幕でアダム・ドライバー演じるル・グリ
三幕でジョディ・カマー演じるマルグリット

一幕、二幕が男性主義に歪んだ認識による”真実”であるのに対して、三幕は「真実」とされている。
一、二幕は同じシーンでもそれぞれ主観の違いによる微妙な演出の違いがある。共通して言えるのは二人とも自分の男らしくない場面は記憶から綺麗に抹消してしまっている問うことだ。
領主に取り入ったり、周りの連中の笑いものになったり、自分が戦に負けたことや、女遊びに耽ったことは都合の悪いものとして本人のパートでは全く触れられないのだ。

さらに加えて、マルグリットからすれば自己都合の良いものであったことが三幕目につまびらかにされる。
カルージュとの出会いなんて彼女からすれば記憶にもないし、ただの財産ゆすり野郎に過ぎず、ハラスメントの連発に事件の後も「違う、そうじゃない」の連発。
ル・グリがマルグリットとの間に感じていたものはただ目が合っていたにすぎないし、ただの勘違いこの上ないことが分かる。
しかし彼女の敵は男に留まらず、同性でさえもこの社会では理解を得られない。その上激キモ裁判でさらされ、自分の命を勝手に委ねられる。

もう勘弁してくれぇ

一つ気になったのは性暴力そのものの描き方
『プロミシング・ヤング・ウーマン』を見た後だと「他にやりようがあったのでは?」と少し思う。
ようすけ

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