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最後の決闘裁判のmkのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.1
リドリー・スコットはすごい。真の巨匠。

今まで『エイリアン』や『テルマ&ルイーズ』など、男性監督ながらもフェミニズム映画を多く作ってきたリドリー・スコットが、ただ男性側の視点だけで終わらせるはずがないと当たり前に思っているので、 終盤の展開に意外性は特に感じられなかったが、ある程度の安心感を持って観ることができた。

わたし個人としては、特に価値観を揺るがされた訳でもなく、あるべき帰着に正しく持っていった映画であり、それ以上でも以下でもないので、印象に残るものでもない(明るい話でなければ、女性がエンパワメントされるでもない)。しかし、表向きはどちらかといえば男性向けに作られたこの映画を観て、1章2章だけで満足していた側の観客が、それこそ価値観を揺るがされたり、自分の日常生活を振り返る瞬間が生まれるかもしれない。
社会問題を訴える映画って、本来はそれを気にしたことない人や知らない人に届くべきだけれど、実際にそれを観る人は、既にその問題に関心がある人であり、映画が観客の視野を劇的に広げるのって意外と難しい。それを達成している映画だと思う。と、ここまで書いたけれど、これでも誤読する評論家や観客はいるようで、悲しくなってくる。
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