あんじょーら

最後の決闘裁判のあんじょーらのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.8
リドリー・スコット監督     20世紀フォックススタジオ     Amazonprime




そう言えば観てなかったので。ナポレオンも早く観に行きたいですし。ただ、グッチにはまるで興味が湧かないのですが・・・


ただ、この作品は私の天敵であるまっとくんが関わってて、う~む、という感じで昨年劇場をスルーしてしまったわけですが、それをアダム・ドライバーが帳消しにするくらい良かった。それにベン・アフレックも素晴らしくダメ領主をやってて、こういう役で光る人だなぁ、と思いました。



1386年12月28日、最後になる決闘裁判が行われようとして、2人の男が甲冑を纏い、戦の準備をしているのですが・・・というのが冒頭です。


ああ、イイ映画でした。とても丁寧に作られています。そして時代劇なので、とても、衣装、装飾、舞台、城、馬、民衆に、莫大なお金がかかっている。それなのに手を抜かない感じ、とにかく画面が豪華絢爛で、美しいです。


いわゆる黒澤明監督の「羅生門」スタイルで出来上がっています。


第1幕が決闘になる男、ジャン・ド・カルージュ(まっとくん)からの視点、第2幕は決闘の相手であるジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)の視点、そして第3幕が実際の被害者でカルージュの妻マルグリット・ド・カルージュ(ジョディ・カマ―)の順に物語が3度繰り返されるわけです。


この時代だからこそ、の男尊女卑を今の時代の規範で断罪するわけではなく、その中で戦った女性を主人公にしたドラマ、という風に描かれていますけれど、これは本当の所はどうだった?というよりは、その状況に置かれたマルグリットの視点で見ると、2人の男の視点がいかに自分勝手な、大変自己中心的で愚かに見えるか?という事だと思いますし、確かに、愚か・・・でも、きっと私がこの時代に生まれていても、同じだったかもしれないので、批判は出来ないなぁとも思いました。


それだけではなく、とにかく美術が素晴らしく、画面に映るすべてに意味がある様に見える、そしてとてもお金がかかっているのが分かる絵作り、凄いです。これはどうにかしてサー・リドリー・スコット卿のデビュー作品「決闘」が観たいですね。


それと、インティマシーコーディネーターが入ってる、と聞いた作品でもありますし、かなり配慮されていて、その点も心地よさを出しているのかも知れません。とは言え、ヒドイ場面の描写があるわけですけれど。


しかし、まっとくんのキャラクター、多分地なんじゃないの?と思うくらい愚かな感じで、個人的に溜飲が下がる感覚があり、良かったです、これで〇〇〇くれてればサイコーだったんですけれど、まぁいいでしょう。この人、結局自分の事しか考えてない。でも、それぐらい、雁字搦めのレールを歩かされているとも言えて、普通ならもう少し寄り添えそうなんですけれど、まっとくんだから、ざまぁ、とか心では思ってしまいました。なんでこんなに嫌いなんだろう・・・顔か、やっぱり。


アダム・ドライバーは本当にイイ役者さんですよね、何でもできる、凄くイイ役者さんです。学があるキャラクターも合ってるし、兵士、という感じも出せる大柄なのに繊細さを感じさせる素晴らしい相反する要素を持ち合わせていて、さらにチャーミングで愛想があるの、本当に最高です。


ベン・アフレックの、このダメ領主の態度、なんか「ゴーンガール」を思い出してしまいました、いい笑顔で、欲望に忠実。凄く合ってると思いました。本当にこういう人いそうですし。


リドリー・スコット監督作品が好きな方に、是非のオススメです。