イェスタデイワンスモア

ボブ・ロス 楽しいアクシデント、裏切りと欲のイェスタデイワンスモアのレビュー・感想・評価

2.7
ボブ=ロスの伝記映画というよりも、彼の遺産を牛耳ってる夫妻を告発するための映画というのが実際のところです。

前半では、ロスの遍歴と仕事哲学が描かれます。アラスカで12年間ほど軍役をしながら風景画を勉強。ウェットオンウェット技法をものにし、PBSで30分の絵画教室番組を作る。女性がメインの視聴者であることから、ベッドの上のような優しくユーモア溢れる口調で語りかけ、人気を博します。

「絵を描くことは人生を豊かにする、そしてそれは誰にでもできる」という信念を持った人でした。絵における失敗を「素敵なアクシデント」と呼び、それこそ学びの機会であり絵画を魅力的にするものであると視聴者に説いたところに、彼の人柄が伺えます。

しかし、ロス一家は、ビジネスパートナーであったK夫妻と、彼らの金儲け重視方針と権利関係で徐々にもめはじめ、現在まで続く闘争に発展していきます。映画後半はこのイザコザについてです。

所感として、映画のコンセプトとして、ただの告発映画に見られかねない造りをしているのは非常に残念です。これだけ魅力と信念のある人物なので、それらに則って本人を伝承することを軸とした作品を、個人的には観たかったです。この作品に「ハッピーアクシデント」という言葉は勿体無い。

それにしても、この頃のPBSは『ミスター・ロジャース』も『セサミストリート』もありで、伝説的だなぁと。

C/P: 0.8|N : 0.8|T : 0.9
Bonus: 0.3