ゆかりん

LAMB/ラムのゆかりんのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

予告に期待をしすぎたことと、最後の展開が消化不良の終わり方をしたので、最初は2点とかにしようかと思ったが、考察をしていくと味わい深い話だったように思えてきたので3.5。
人にオススメをするほどではないが、考察厨はぜひ鑑賞してほしい。


ここからはネタバレとなるが、
①罪と罰
②キリストの誕生

この2つについて考えてみた。
3章で構成をされていたので時間経過に混乱してしまったが、恐らくアダを取り上げてから時間は1年も経っていないと感じた。成長スピードも羊。なので人間の5歳児くらい?あのサイズになるまでも速かったんじゃないかと思う。
母羊がメェメェと子供を求める声を何年も聞いていたならなかなかの忍耐力だ。
そこから、アダの着ていた服やベビーベッドは実子アダが実際に使っていたものではないかと思う。(急に用意するの無理だし)

劇中「天からの贈り物」と言っていたが、本当にそうなんじゃないかと思う。
自分達の本当の娘アダは5歳とかそれくらいで死んだのかもしれない。
しかも親の過失か事故か。
悲しみに暮れ、性生活もなくなり淡々と過ごす夫婦にアダが与えられたのかもしれない。
夫がトラクター?の中で泣くシーンは初め、「妻がよくわからないものを娘の代わりに育てている」という悲しみの涙かと思っていたが、夫のアダを受け入れるスピードの速さから「アダが自分達の元に戻ってきてくれた」という嬉しい涙だったのではないか。
アダが来たことで二人の関係が修復され、夫婦らしさが取り戻されてきたのだろう。


ただ、母マリアはアダから本当の母を奪ってしまう。
羊に対して「私の子供」と対等な憎しみを向けるかのように。天からの贈り物に執着心で囲ってしまった。恐らく深層心理では罪悪感があるのかもしれないが、基本的に「これは私の子供」と思っているだろう。

ポスターはイエスキリストと聖母マリアを彷彿とさせるし、実際監督にそういった意図があるように感じる。
この場合だと逆になってしまうし、上手く辻褄を合わせるのが難しいが、「羊飼い」「迷える子羊」とキリスト教を彷彿させるものが多い。
羊の性生活なんて見ていないだろうし、どの個体との子供なのかわからないが、最後に出てきたリアルパッパが神のような存在なら処女受胎したことになる。でもそんな聖母マリアに該当する羊から母マリアは子供を取り上げ、殺した。
全てに意味があったと考えるなら最初の「メェメェ」、悪夢の中のたくさんの羊、兄だか弟だかからの「アダは母親を殺されたことを知っているのか?」は警告だったのではないか?
だがマリアは全てを無視する。
リアルパッパの出現は警告の無視だったとも考えられる。
アダ自身にしてもそのほかの動物たちの敏感な反応についてより考察する余地があるかと思うが、これだけ言っておいて単純な怪奇物語だったのかもしれない。
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