Siegward

LAMB/ラムのSiegwardのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.8
どこかカフカの『変身』みたいな物語で、不条理であり実存主義的な感じ。

高山で牧畜を営む夫婦の羊がある日奇妙な子供を産み、“それ”を二人が自分たちの子として育てていく話。「何故そんなことが起きたのか?」は特に問題とせず、現実の存在を優先し、ありのままの事実に対して当事者がどう対応していくかを描く。

終始不穏な空気が漂いつつも、物語はかなり淡々と進み、雄大な自然の美しさ以外は映像的に地味。ただ見せ方は上手く、この先どうなるんだろうと最後まで興味が持続する。

しかしながら、ラストの展開は少々安っぽく、その辺が評価を下げる一因となっているように思える。まあ色んな解釈が出来るけど、因果応報といいますか。

終盤にちょっと難ありだが、不条理スリラーを好む映画ファンにはおススメ出来る一本。実に気持ち悪くて良い。てか、キリスト教文化圏なのにヤギでなくヒツジをこんな不気味に描くのって意外だね。あちらでは神聖な動物じゃなかったっけ。
Siegward

Siegward