アイスランドの羊飼いとして、慎ましやかに暮らす夫婦。
いつものように羊の出産に立ち会うと、産まれてきた赤子は羊人間だった。
子供を喪った過去を持つ夫婦は、母羊から赤子を奪い、自分達の子供として大切に育てる。
公開時から気になっていた作品。
開始早々、これは釈然としないまま終わるアート系作品だと直感し、期待値を修正して正解。案の定、??な作品だった。
静謐で単調なテンポ感。
寒色系の画面からは、アイスランドの生活の荒涼感や寒々しさを感じる。
BGMやセリフもほぼなく、キャラクターもあまり感情を出さないため、重々しく、不穏な空気が漂っている。
これらの要素が、全体として独特な雰囲気を作り出している。
だからこそ、アダくん(羊人間)の存在感がとてもシュールだったし、夫婦がそれを当たり前のように可愛がっていることの異様さが際立って面白かった。笑える。
一つ残念だったのは、あらすじ以上のストーリーがなかったところ。
設定の独自性や、空気感だけで保っている感じで、ストーリーが薄くて物足りない。
また、最終的に物語が何を象徴しているのかがよく分からず、難解さを感じた。
聖書のメタファーが散りばめられてそうだと思い、「キリスト 羊 羊飼い」などとググってみたが、当てはまらないような。
ギリシャ神話のサテュロスがモチーフとなっているとの噂で少し調べてみたが、あまりピンと来なかった。考察の余地がある。
アダくん、結構可愛くて笑っちゃった。
突然のラストにはビックリ!