【2020年114本目】
大人は昔、子供だった。
藤原啓治追悼。
僕は誰にとっての大人でもないけど、今作は人が成長していく儚さと、親であることの尊さをダイレクトに伝えた作品。
人間にとっての思い出は、宝。
当事者には光り輝く全盛期であり、取り返すことのできない一度きりの人生の一部だ。
様々な希望と後悔で満ち溢れた思い出は、人に刻まれる。
僕が物心つく前から、放送していたクレヨンしんちゃんという国民的なテレビアニメ。
その中で親のヒロシにフォーカスして、ここまで訴えかける作品に仕上げられることは、誰にとっても不変性のあるメッセージ性を感じる。
女性進出社会という現代においてヒロシは、それを助長するように、軟弱な父として、弱くて頼りがいのない父として映るような気もする。
しかし、そこには家族への愛と自分の幸せが存在している。だからこそサザエさんの波平と対局を成すようなヒロシが、父親像として確立している。
一市民として、平凡な父として、ヒロシをダサくて格好悪く演じたことで、誰にとっても不変的で弱くて強い父親になった藤原啓治さんに感謝を。
僕らは、貴方を見て育ったよ。ありがとう。