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スープとイデオロギーのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)
5.0
コレはホンマに「オカン」の映画やん🥰
兵庫の実家のオカンは小学生の時に神戸大空襲の為に山形に疎開した。
そこでは父親の親戚から朝から晩まで農家の仕事に、こき使われて「ホンマ、しんどかった〜」て今でも言うてる。
ヤン・ヨンヒの「オモニ」は大阪で生まれて大阪大空襲を逃れる為に韓国の済州島に疎開した。
そこで戦後「済州島4・3事件」に巻き込まれ、再び大阪に帰る事になる。
韓国史の恥部と言われる「4・3事件」は1948年済州島で起こった赤狩りと称して軍、警察による村民の大虐殺事件である。
このドキュメンタリーが素晴らしいのは、一人の市井の「オモニ」の人生を描く事で日本、韓国の戦後史をマザマザと鮮明に見せつけてくれる事である。
正に戦争、歴史に翻弄され過酷な運命に弄ばれた個人の人生の歴史である。
そんな中でもオモニは在日として大阪で築いた家族を想い、笑いを絶やさず、美味しい故郷の参鶏湯を振る舞い、そして北朝鮮に送った息子の為に身を粉にして働き仕送りし続けた。
あくまで淡々とした語り口で時に愛のある親子の大阪弁のオモロいやり取りを挟みながら、オモニの人生と家族を描いている。
もう親世代でも戦争の記憶のある当事者は少なくなっている。
絶やさずに語り継がれるべき事は多い。
そして知っておくべき事も多い。
「忘れたい事もあるわな〜・・悪いことした人は忘れたらアカンけどな・・・」
監督のコノ言葉に監督の優しさと信念の強さを感じた。
映画館で無くてもイイから誰もが一度は見て欲しい映画である。
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