ベビーパウダー山崎

ひと夏の出来ごころのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ひと夏の出来ごころ(1984年製作の映画)
3.5
ベートーヴェンの運命が流れるなか腹上死した老人もいれば、インポテンツが治って聞こえてくる運命もある。突然の死があり生に執着し、男も女もみなそれぞれに忙しく、夏に吹く風と砂浜を走る少女。加藤文彦映画で馴染みの双眼鏡にもちろん銃も出てくる、バイク、線香花火、カセットテープ、そしてセックス。オープニングで坂道を登り映画に現れた少女がラストには浜辺で裸になり海の向こうへと去っていく。「映画」は理屈じゃない。神代辰巳の衝動とフランス映画のケオリで喜劇を撮り切る加藤文彦、その映画的としか言えないセンス。馬鹿騒ぎだとしてもひと夏の幻、多幸感溢れる終盤が最高。