あー最高だ。実に最高であった。小気味良い会話劇であそこまで笑えるのは、意味が分かると怖い話を彷彿とさせるように、実際経験しているとより笑える描写が多いからだし、隣の男の子が何も笑っていないシーンで私の笑いが止まらなかったのは多分そういうことなんだろう。誰かに恋をするということは自分と会っていない時間のその人を頭に浮かべ、その人の生活を想像することだと思う。『サッドティー』以降「『ちゃんと好き』ってどういうこと？」を念頭に、共に考え続けてきたつもりだが、それなりに分かった気になっては一時的な理解と破綻ばかりを繰り返し、悩める時期を過ぎればまたそこから長く離れることもあり果たして進んでいるのか分からなくもなるが人生はこうした螺旋の積み重ねなのだろうと思うしかない。開き直りの境地である。本作でも問い続ける「結婚ってなんだろう」に関しても未だ知る由はないが、分からないことを分からないまま飲み込ませてくれるこの映画はまるで赦しを受けたかのようで、分からないままに生きるしかないのだと思わせてくれ、深い安堵に包まれる。問い続けさせといてそんなのズルいよなんて思うけど、「愛がなんだ」を経ての「愛なのに」では確実にそんな潔さが加速している。いつかまた悩める日が来たならば真っ先にこれを観るつもりでいる。中島歩が事後に煙草吸うシーンは今後の人生でも積極的に摂取していきたいし、瀬戸康史が二枚…のシーンで爆笑してしまったので誰か観た人と話したいですよろしくお願いします。
