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愛なのにのぷりんのレビュー・感想・評価

愛なのに(2021年製作の映画)
4.9
今泉さんと城定さんのタッグで相乗効果が産まれているというか、愛の形は人それぞれみたいなあるあるなテーマを描いてるんだけど、アルプススタンドのはしの方みたいな「真面目なゆるさ」が今泉さんの世界観に入り込んできてすごく好き。

鑑賞して振り返ると、誰1人常識人が出てこない映画。多田さんは常識人に見えるけれど、それはあくまで他の登場人物に比べたらの話で、学生時代の好きな人を30代になっても引きずってたり、ゴム二重にしたりする時点でヤバいやつでしかない。

あれは恋なのかというのは置いといても、側から見れば30代と高校生の恋愛はキモいわけで、そこで「愛を否定するな」って父親殴れるのはかっこいいよ。けど、やっぱり常識人とは言えない。

キャストも場面も少ないしお金があまりかかってない映画で物語としても淡々と進んでいく感じなのに人々の人間臭さのようなものが描かれている。刺さるわ。

ゴリマッチョがセックス下手みたいなのはよく描かれてるけど、ここまで露骨だともはや面白い。行為の後に1人でタバコ吸いにいっちゃったり、カップ焼きそば食べたりしてる旦那と比較すると、行為の後にピロートークしてくれて、自炊してるし、おまけに手紙も可愛い空き缶にしまって直筆で返事書いて高校生にも向き合ってると常識人に見えちゃうよな。でも、冷静に考えると全員ヤバいやつっていうのは変わりなくて、それなのに誰もが冷静で淡々と物語進んでいくから引き込まれちゃったよ。
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