スワット

笑いのカイブツのスワットのネタバレレビュー・内容・結末

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

2024年 劇場鑑賞3本目
伝説のハガキ職人”ツチヤタカユキ”の私小説を映画化した本作。
原作は未読ではあるが、自身がオードリーのオールナイトニッポンを初回から2018年頃まで聴いていたヘビーリスナーであった為、このツチヤタカユキという人物が彗星の如く現れたハガキ職人と言う認識は当時高校生の自分にとって今でも思い出されます。
しかも影響された自分は当番組にネタハガキ、メールを送っていました。(採用されることはありませんでしたが…)

そんなツチヤタカユキを演じる岡山天音さんを始め、周りを固める俳優、女優さん方の熱演が素晴らしかった。
志半ばで大阪へ戻ったツチヤが居酒屋で初めて自分の気持ちを独白するシーンなんて勿論のこと。
個人的に刺さったシーンがラジオから流れるベーコンズの声が当時聴いていたオードリーのラジオと瓜二つだったこと…
あの頃を思い出してしまい、エモすぎて少し泣いてしまいました。あれは当時の音声ではないよなぁ… でも聴いた瞬間の心の昂りは凄かったです。
あれを再現したなら仲野太賀さんと板橋駿谷さんの演技力に脱帽です。
というかベーコンズのお二人の再現力は目を見張るものがありましたね。最後の漫才シーン然り、楽屋での漫才練習シーンも水木(板橋さん)がすぐに楽屋弁当食べ始めるとことか思わずニヤニヤしてしまいました。

これは僕の持論であるのですが、私小説のデメリットとして自身の体験や周囲の人間模様を美化し過ぎてしまうことや醜悪にし過ぎてしまうことがあると考えています。
そう言った意味では今回の映画ではツチヤという人物がとても社会から認められるとは思えず、また周囲の人間模様があまりにも献身的すぎるかなと。
これを文章で見るのと、映像で観るのでは雲泥の差で、読み手聞き手のストレスの掛かり方が全然違いますね。随所に耐えれなくてキツイなと感じる箇所がありましたね。特にツチヤが氏家に対して暴言を吐いてしまうとことか…
あの時の前原さんの表情とかもう…

それでも最後の穴のシーンは序盤のシーンとの対比が効いていて、一度死んだツチヤタカユキが第二のツチヤタカユキとしての始まりを示してくれた気がします。
それだけでも救いの手があったのかなぁと。

それにしてもラジオで聴いた『人間関係不得意』は爆笑してましたが、この映画で見る『人間関係不得意』は考えさせられる別物の言葉になってましたね。
言葉には本当に色んな色があって、興味が尽きません。
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