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女神の継承のttrtouchのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.7
舞台挨拶回にて鑑賞。
監督・キャストの期待高まるコメントを胸に130分。
全体的に湿度の高い映像で、神秘的な田舎風景と、そこに土着する信仰を描いたストーリーは独特の雰囲気があり魅力を感じたし、随所に挿入される重低音と不協和音の音響効果も素晴らしかった。
キャストも見事な演技で、主演女優のミンは舞台挨拶の風貌からは想像できないほどの怪演を魅せてくれた。

惜しむらくは序盤がやや冗長に感じられたことと、盛り上がりを見せ始めた後も、R18として全くといっていいほど衝撃描写がなく、恐怖演出も良くも悪くも色んなホラー映画の寄せ集めで、終盤は中途半端なカニバリズムが不純物として作用してしまったこと。

雰囲気や演技が良かっただけに、もう少し衝撃的かつ容赦のない描写や刺激的な展開が欲しかった。
お決まりの展開ではあったが、言い付けも守らず感情で動いて全ての儀式を失敗に導いた兄嫁は非常に愚かしく、行動の説得力が無いために理解に非常に苦しんだ。

残念な部分はあったものの、総合的に見れば近年のアジアンホラーの良作とは言えそうだ。R18のホラーを期待すると感触はかなり弱いので、PG12くらいの気軽に観れるモキュメンタリーとして臨むことをオススメする。

「祈りの先に、救いはあるのか」
とても素敵なキャッチコピーである。
ナ・ホンジン監督の時点で、その解は十中八九予測できてしまうが、期待を裏切らない後味に星を添えたいと思う。
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