楽しいモイモイ

THE FIRST SLAM DUNKの楽しいモイモイのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

原作ファンです。

本当に、山王戦を映像で見てる…!という感じ。試合の空気感、緊張感がリアルに感じられて感動しました。

コート上の人間の細かい動線、審判やベンチの人の動き、床の質感が伝わってくるドリブルの音、観客のどよめき具合まで、みっちり考え込まれている気がしました。

臨場感があるけどバスケの試合中継では絶対ありえないカメラワークで、映像体験として新鮮な部分がありました。

定かではありませんが、試合開始から2分くらいは、演出的に時間を伸ばしたり縮めたりせず、リアルに2分だったんじゃないかな…。

開始早々のアリウープは漫画よりもアッサリした印象でしたが、確かに実際の試合だったらこのくらいのテンポなんだろうな、と納得。潔くて格好いいと思いました。

あと細かいですが、ボールの音の違いにゾクッとしました。特に序盤の、屋外のコンクリートのコートでのドリブル音。ボールと床のかたさ、質感がめちゃめちゃ伝わってきます。山王戦のパスの音もやばい。

原作未読の方にはピンとこない構成だと思いますが、個人的に、山王戦に絞られていたのはかなり良かったです。


微妙だった所も多々あります。

①宮城リョータの過去話
⇒山王戦だけでは映画が成り立たないので、起承転結の流れをくっきりさせるために取り入れた要素、として見ました。
必要だったのかもしれませんが、どっちでもいい内容だし説明的で長いと思いました。
試合が盛り上がったタイミングで回想が入るので、いちいち気分が冷めました。テレビの良いところで入るCMみたいな印象です。

②クライマックスにかけての、人物のテンションと空気がちぐはぐな感じ
⇒映画後半になるほどセリフが浮いてる感じがしました。テンポが悪いというか。「諦めたら…」等、有名なセリフが軽く聞こえたり、観客やキャラクターたちの感情の変化が唐突に感じられたり。概ね漫画通りの流れなんですが、この映像で見ると無理矢理感がありました。

③曲
The birthdayと10FEET…。映画に合うかどうかより、趣味、なのかなと。回想シーンのピアノ、最後のハイタッチ後のBGM、このあたりはこだわりの無さを感じました。


バスケの試合の空気感や音があまりにもリアルでこだわりが尋常じゃない分、相対的にそれ以外の要素の解像度の低さが浮いてしまっていた気がします。通常のアニメだったら気にならなかったと思います。

試合の緊張感は本当に素晴らしくて、映像としても新鮮でした。ガチで山王戦の試合シーンだけの映画でも良かったのでは…と思うほどです。試合パートは何回も繰り返し観たいです。
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