はま

THE FIRST SLAM DUNKのはまのレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.8

まずあの狂気すら感じるレベルの絵の美しさ、緻密さ。原作のキャラクターデザインの素晴らしさを再認識するのは大前提で、彼らが動き出すことで生まれるバスケの臨場感、そして表情の豊かさ。
そう、ツラがいい、ずっとツラが良すぎる。

あとは効果音、音楽の使い方の上手さ。バスケコートに夜の風の音と虫の声が響くシーンなんてもう美しすぎて。試合展開に合わせてかかる音楽での緩急の付け方もいやらしくなくて本当に上手い。

そういう技術面の素晴らしさは挙げたらきりがない。だからここまですごいクリエイティブを見た時って、あそこのあれが云々とかを一つずつ噛み締めるのももちろん楽しいんだけど、結局最後は作り手と作品の持つ執念とか観念みたいな、言葉にするとあまりにも不確かな部分にしばらくやられてしまう。

"作品が私たちの(皆んなの)中で生き続ける"的なキザでよく聞く台詞、これを大真面目に思った。
こんなの違う宇宙で彼らは今も生きてバスケしてるに決まってんじゃんね?

だから作品の視点が変わったということから始まる原作との相違点、あるいは今回新たに描かれた部分/描かれなかった部分は実はどれも同時的に存在しているはず。
どうがいいとか、どっちがどうとかではなくて、全部スラムダンクだし全部彼らであることには違いない。

なんて、シン・エヴァだったり大豆田とわ子の小鳥遊の台詞だったりを引き合いにして思う。


と言いつつも、この映画のもう一つ好きなところは描かれていない部分がたくさん残っているところ。とても研ぎ澄まされているけど、残った必要なエッセンスが超濃密度だから、かえって情報過多でアドレナリンが出る。違う場面のふとした1秒の絵が予期しないタイミングである1秒にちゃんと繋がってくる。
今の新しい1カットが30年前の原作にちゃんとアクセスしてるし、原作から削ぎ落とされた要素は違う表現に形を変えて生き残っている。

長文すぎるけど、とにかく冒頭の子どもの頃のアイツの表情も、歪んだ眉毛も、きれいなシュートフォームも、下まつ毛も、、、あと個人的にはあの兄がそのまますぎるのも、全部好き!!!
はま

はま