くさむすび

THE FIRST SLAM DUNKのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

原作未読で変なバイアスをかけずに見られたのが功を奏したのかもしれない。これほどまでに上映中一切余計なことを考えずのめり込めた映画が今年あっただろうか。
山王工高戦をメインに写しながら所々に回想が挟まるので、いかにこの面々がこの試合に賭けているかが原作未見でもヒシヒシと伝わってくる。
そして試合中全ての演出がピッタリハマっていた。試合のシーンはスピード感も去ることながら、音の演出が冴え渡っている。響き渡るボールのバウンド音、バスケットシューズがキュッキュッと鳴る音の細かさが一気にリアルな体験へと誘う感じで物凄く良かった。そして逆転するかしないかの山場で使われる無音の演出。安易にゴールシーンで観客の「ワー!」という歓声を入れるのではなく更に我慢し僅か数十秒で逆転し逆転される一進一退の攻防を無音で見せながら、あるタイミングから秒針のような音のみで語り始める。観客を試合に引き込ませながら、刻一刻と迫る試合終了までをスリリングに映し出す見事さ。
桜木花道がてっきり主人公だと思っていたが、宮城というキャラクターが主人公なのは見るまで知らなかった。実は本作の中であまり描かれない母親との関係。リョータと母の絡みは家族であるのに終盤になるまであまりないが、それこそが二人の実際なのだろうと考えるとより胸に訴えかけてくるものがある。宮城が主に今作のメインキャラクターではあるが、湘北の面々も過不足なく試合中の思考を見せていて不満なく見れました。
今作も『トップガン マーヴェリック』の時もそうだけど、やっぱり公開前にグダグダ言ってる人って信用しちゃいけないなと思った一年でした。
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