ムードしかない。確かに色彩は鮮やか。はるか遠方に地平線を見せながら、ハイウェイを走る車をフルショットで捉えたカットには不思議な高揚感がある。その手の感動はいくつもあるとは思う。ただ人間関係の描き方は希薄だし軽薄。親子の交流も、そもそもそういうものを本当に描きたかったのかすら疑問だけど、あざとさだけが目立って楽しめなかった。
また主人公のトラヴィスがかなり身勝手で幼稚な人物に思えたし、別にそれ自体は良いんだけど、色彩豊かに描かれたこの「世界」がそんな彼の感傷的なムードを表現するために存在しているように見えたのがしんどかった。甘やかしてない？
私には合わない作品でした。
