おもち

パリ、テキサス 2K レストア版のおもちのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

午前10時の映画祭にて
久しぶりの再鑑賞。ずいぶん前に一度観たきりだから色々忘れていた
赤い帽子を被った枯れ木みたいに痩せた男が砂漠の中をずんずん歩いてるシーンがあったよなぁと思って、冒頭がそういうシーンだったのでやっぱりと思った
記憶のないトラヴィスのあの風貌、遠くから見ると小さなマッチ棒が歩いてるような、あのぽつねんとした感じが、私はすごく好きだ
記憶が戻った後のトラヴィスより、理由も分からずただテキサス州パリを目指しているトラヴィスの方が切実さがあって目が離せない

弟ウォルターの家でトラヴィスがアルバムをめくって「これがお父さんの父親、お前のおじいさんだ。もう亡くなったけどね」と言うと息子ハンターが
「(父親の父親が)死んだって感じる?歩いたり喋ったりしたことを覚えてるように、死んだって感じる?」と尋ねる

「…時々はね」
「僕はパパを感じてたよ。生きてるって。ママのことも感じてる」

死んだことを感じるって表現よく分かる
もう居ない、二度と会えない人と
近くに居ない、会いにいける人とでは大きな差があるよね

海辺の旅行の8ミリビデオの中のトラヴィスとジェーンは幸福そう抱き合っていた
夫婦や家族がまるで別人のようになっていってしまうこと、深い繋がりで結びついていた関係が次第に変化してしまうこと、その悲しさと仕方のなさに力が抜けてしまった
それは大人でも辛いことなのに4歳の子供には酷なことだったろう。ハンターが素直で心の優しい子なのが救いだと思う。
弟夫婦、特にロシア系の妻アンのことが心残りだ。ハンターの母親(代わり)として愛情深く接した彼女が泣いていないといいと思う
おもち

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