たむ

アステロイド・シティのたむのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.6
とてつもなく豪華になっていくウェス・アンダーソン監督の最新作です。
一体どう集めたらこうなるのか?ハリウッド映画よりよっぽど豪華なキャストは、この映画作家への期待と感じることが出来ます。
本作は、ウェス・アンダーソン監督らしい作りものの世界観を内容面からもアプローチした壮大な実験作です。
ウェス・アンダーソン監督の特殊な世界観と物語は、ナレーターや記者、本など語り手がいて、それを想像した形を取る不思議な複雑さがあります。
本作はそれを更に一歩前進させて、テレビ番組であり、演劇の作家と役者、その舞台を切り離しつつ、実は我々が観ているのはどれでもないわけです。
書いていて訳がわからなくなって来ますが、異化作用を超える新たな物語の可能性を感じます。
これから展開する物語はこういう物語で、誰が作っていて、こういう構成をしています、と映画に始まりで提示されます。
そうなると、観客は何が起こるのか?
しかも映画はそのどれでもない、新たな産物でもある。
最初から作るものであることを意識させられたからこそ、『未知との遭遇』へのオマージュも効いてくる。
とてつもなく不思議な、これまでにない新しい映画や物語の語り方が発見されたかもしれない映画ですね。
たむ

たむ