それよりも前に起きた事象か、それよりも後に起きた事象かという問いは「それ」を何とするかによって答えが真逆にもなり得るものであり、タイミングとは主観的な選択にまつわる問題であるということが冒頭から示され続ける
言葉として発話するまでは事象が起きていないのと同義の状態が生まれ得ることを認識しているジェイソン・シュワルツマンが、それこそが「台詞」の本質であることをマーゴット・ロビーから伝えられる場面は、脚本、芝居、撮影、編集、上映という順序が「それ」の隠蔽により完全に崩壊し混沌としており、それ故にウェス・アンダーソン作品でも最も感動的なものとなっている