アステロイド・シティのながみーねのレビュー・感想・評価

　ウェスアンダーソンの剛腕ぶりが光る傑作。ウェスのスタイルとそこに生きる人間の生々しさを無理やり画面の中に押し込んだその強引さこそが本作の見所。また劇中劇を単なる劇の説明として劇を解釈するためのものとして描かない、あくまで同列に存在感を持って描いている図々しさも素晴らしい。例え映画としてどんな構造を持っていても結局そこに存在する人間の生々しい瞬間を捉えられているかどうかなんだな。映画の構造は複雑かもしれないけど見所はシンプル、考察して楽しむみたいな野暮なものじゃない。久々に虚構の凄みを感じた1本でした。