血

アステロイド・シティの血のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.5
最近のウェス、フレンチディスパッチや今作は、ひとつの長い物語を語るというより、断片のパッチワークというか緻密なパズルを組み立てて結果的に出来上がったキネティックな一枚絵を観客に与えるような印象で、それは最近の映画というより、古典映画のアップデートみたいなことを志向してつくってる感じがする。ある意味ぼーっとみれるし、観客に特定の感情を起こさせようとする操作があんまりないというか

で、この絵本みたいなこまごまと動くミニチュア感のある作風でそれをやるのは理にかなってると思う。というのも、それはグランドブダペストみたいな一つの長い物語を積極的に語るような長編より、pradaとかh&mのショートみたいな短編のほうが向いてる気が前からしてたから

ただグランドブダペスト以降くらいから表面的なストーリーはわかるけど、なぜこれなのかってところがいまいちわからない。そういう意味では難解なんだけど、それをわかろうって気にさせるような引力も感じない

まあある作家と自分が合うかどうかの大きな要因として、ユーモアの感覚が合うかどうかがあると思ってて、ウェスとはそれが合わない感じするからたぶん根本的に合わないんだろうなって気はしてるけど、みためがお洒落で完成されてるからみちゃう。ファッションショーとしてみるだけでも毎回おつりはくると思うし

今作に関していえばいつもの忙しなさがあんまなくてみやすかった。舞台が一箇所なのと音楽が控えめだったからかな。最近では一番渋い感じした
血