ドンキーホーグ

アステロイド・シティのドンキーホーグのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.9
観ていて何となく、「Tales from the loop」を思い出していた
アステロイドシティの方がが彩度高めで豪奢だが、パステルカラーの空想科学作品、として何となく連想する

とにかく完璧主義。構図も色構成も、タイミングも全て。映画全体がシャキシャキと話が進む訳ではまったくないのだが、シネマトグラフィーがあまりにも完成されているので、目を離す暇が1秒たりともない。

前回は雑誌、今回は舞台。でも構造は似ていて三幕構成。そして、メタフィクション。

階層的にはこんな感じ?
・(軍の偉い人が話す、スピーチの中での物語)
・舞台で演じられる物語
・舞台を演じる者たちについての物語
・それを解説するものの物語

ここまでは端的な事実だが、これ全体の話が何なのかと言われるとさっぱり分からない。
おまけにこのメタ構造を頻繁に破るし、人物名は覚えられないし、セリフがめちゃくちゃに加速するところもあるし…で混乱の極み。

前回はそれなりに感じ入るところもあったが、とにかく今回は良くわからなかったので、肩の力を抜いて1つの映像体験として処理してしまった。

前回はレア・セドゥのフルヌードを入れてきて、今回はスカーレット・ヨハンソンのフルヌード。ウェス・アンダーソンはやることが違う。

それにしても、フレーミングに関しては本当に天才だな。窓枠を使ったり、アスペクト比を変えたり、シンメトリー、分割。画面内に複数人を収める構図を観ているときの快感たるや。